老婆
2008年5月27日(火)
レコードに針を落とし、肱掛椅子に腰を掛け
老婆はゆっくりと目を閉じる
comment ne pas perdre la tête
serrée par des bras audacieux
car l’on croit toujours
aux doux mots d’amour
quand ils sont dits avec les yeux
moi qui l’aimais tant
je le trouvais le plus beau de Saint-Jean
je restais grisée
sans volonté
sous ses baisers
ゆっくりと腰を上げ、別のレコードを取り出し
また、そっと針を落とす
tu es partout car tu es dans mon coeur
tu es partout car tu es mon bonheur
toutes les choses qui sont autour de moi
même la vie ne représente que toi
des fois je rêve que je suis dans tes bras
et qu’à l’oreille tu me parles tout bas
tu dis des choses qui font fermer les yeux
et moi je trouve ça merveilleux
ゆっくりと腰を上げ、別のレコードを取り出し
また、そっと針を落とす
padam padam padam
des <<je t’aime>> de quatorze-juillet
padam padam padam
des <<toujours>> qu’on achète au rabais
padam padam padam
des <<veux-tu>> en voilà par paquets
et tout ça pour tomber juste au coin d’la rue
sur l’air qui m’a reconnue
ゆっくりと腰を上げ、別のレコードを取り出し
また、そっと針を落とす
c’est fou c’que j’peux t’aimer
c’que j’peux t’aimer des fois
des fois, j’voudrais crier
car j’n'ai jamais aimé
jamais aimé comme ça
ça, je peux te l’jurer
si jamais tu partais
partais et me quittais
me quittais pour toujours
c’est sûr que j’en mourrais
que j’en mourrais d’amour
mon amour, mon amour
ゆっくりと腰を上げ、別のレコードを取り出し
また、そっと針を落とす
ils écouteront
les mots d’amour
que tu disais
ils entendront
ta voix d’amour
quand tu m’aimais
quand tu croyais que tu m’aimais
que je t’aimais, que l’on s’aimait
瞼の裏、幾つかの光景、瞬間、人々
そして、涙に流され、消えゆく思い出
conversation、暗闇、la voix
2008年5月25日(日)
森の中、朽ち果てた木の塀にもたれ
蝋燭の光に照らされ、君は僕に訊いた
conversation、暗闇、la voix
薪の炎で温めた、君の両手で温めた
蜂蜜の入ったミルクの器を僕に手渡し
僕は僕で目を閉じ、ゆっくりと閉じて
夕暮れに沈む黒い山々を見詰め
conversation、暗闇、la voix
太古から続く、さながら荘厳な儀式の様に
僕達は心を生贄として捧げる
君の美しい微笑みが、過去の湖の上で発光する
僕は悲しみの中、深く深く潜水する
あの古い歌を憶えているかしら
歯車の様に、錠が移ろぐ古い歌を
conversation、暗闇、la voix
僕の生命を感覚で満たす君の香り
夏の夜の散歩の様な君の声
風に揺れ、風と共に揺れる君の髪
山肌を探る小川の様な君の指先
絶望の中に悦びが溢れる君の唇
conversation、暗闇、la voix
僕の生命を感覚で満たす君の声
夏の夜の散歩の様な君の髪
風に揺れ、風と共に揺れる君の指先
山肌を探る小川の様な君の唇
絶望の中に悦びが溢れる君の香り
conversation、暗闇、la voix
僕の生命を感覚で満たす君の髪
夏の夜の散歩の様な君の指先
風に揺れ、風と共に揺れる君の唇
山肌を探る小川の様な君の香り
絶望の中に悦びが溢れる君の声
conversation、暗闇、la voix
僕の生命を感覚で満たす君の指先
夏の夜の散歩の様な君の唇
風に揺れ、風と共に揺れる君の香り
山肌を探る小川の様な君の声
絶望の中に悦びが溢れる君の髪
conversation、暗闇、la voix
僕の生命を感覚で満たす君の唇
夏の夜の散歩の様な君の香り
風に揺れ、風と共に揺れる君の声
山肌を探る小川の様な君の髪
絶望の中に悦びが溢れる君の指先
conversation、暗闇、la voix
僕の生命を感覚で満たす君の香り
夏の夜の散歩の様な君の声
風に揺れ、風と共に揺れる君の髪
山肌を探る小川の様な君の指先
絶望の中に悦びが溢れる君の唇
conversation、暗闇、la voix
森の中、朽ち果てた木の塀にもたれ
蝋燭の光に照らされ、君は僕に訊いた
あの古い歌を憶えているかしら
歯車の様に、錠が移ろぐ古い歌を
砕けた鎖
2008年5月20日(火)
昨日の様な今日 今日の様な明日
命の鎖の様に 永遠に続く明日
君が吐息の様な溜め息をつく
森の枝々に懸かる 深い深い霧の様に
昨日の様な今日 今日の様な明日
命の鎖の様に 永遠に続く明日
君が吐息の様な溜め息をつく
死にゆく者の安堵にも似て
昨日の様な今日 今日の様な明日
命の鎖の様に 永遠に続く明日
この霧の森を抜けた所
夜明けの光の中
二人の明日があると信じていた
昨日の様な今日 今日の様な明日
命の鎖の様に 永遠に続く明日が
だが嵐の後 僕達は流れ着いた
鳥達の飛び立つ街
僕達の終着点 この広場に
ここに僕達のささやかな墓碑を刻もう
そして二人の恋人を この石畳の下に葬ったら
もう一度だけ 最後の微笑みを交わし
この噴水を君は左に
この噴水を僕は右に行けばいい
そしたら この夕立の中
もう 涙をこらえなくていい
昨日の様な今日 今日の様な明日
命の鎖の様に 永遠に続く明日
墓碑の上 刻まれたのは記憶の影
「世界」
2008年5月19日(月)
心と心が融け合う時
体と体が包み合う時
魂と魂が砕け合う時
不死鳥の様に、恋人は蘇る
凄まじい両翼を振りかざして
その翼で空高く、力強く舞い上がり
一瞬の永遠の中、彗星の様に
ひしと抱き締め合ったまま
僕は「世界」を「見た」ことがある
その翼で空高く、力強く舞い上がり
一瞬の永遠の中、彗星の様に
ひしと抱き締め合ったまま
君は「世界」を「見た」ことがあるか
二羽の恋人の物語
2008年5月18日(日)
二羽の鳥は二またに分かれ行く・・・
二羽の鳥は二またに分かれ行く
二羽の鳥は二またに分かれ行く、だから
二羽の鳥は二またに分かれ行く、どうか・・・
二羽の鳥は二またに分かれ行く
二羽の鳥は二またに分かれ行く、だから
二羽の鳥は二またに分かれ行くから
二羽の鳥は二またに分かれ行く
二羽の鳥は二またに分かれ行くの
二羽の鳥は二またに分かれ行く・・・
二羽の鳥は二またに分かれ行く、それでも
二羽の鳥は二またに分かれ行く、どうしても
二羽の鳥は二またに分かれ行く、ねぇ
二羽の鳥は二またに分かれ行く
二羽の鳥は二またに分かれ行くのよ・・・
二羽の鳥は二またに分かれ行く
二羽の鳥は二またに分かれ行く
二羽の鳥は二またに分かれ行く、どうしても
二羽の鳥は二またに分かれ行く
二羽の鳥は二またに分かれ行く
あの青空を、悲しく
甘美な歌
2008年5月18日(日)
窓辺にうつむいている少女よ
もっと私を悲しくさせておくれ
無性に泣き うずくまりたくなる程に
夕方になると 雨がしとしと降る様に
悲しみの蒼い海底に漂わせておくれ
涙の池に 涙の河に 涙の湖
窓辺にうつむいている少女よ
もっと私を悲しくさせておくれ
二人の耳の中 潮騒が寄せては返すよう
私の愛が 小鳥の様に手に取れるよう
二人の知る 長い長い別離の様に
二人の知る 長い長い手紙の様に
窓辺にうつむいている少女よ
もっと私を悲しくさせておくれ
いつか受話器越し 泣きながら愛を誓った様に
泣きながら 優しい手で寝かしつける様に
私が私自身である為に
私達が恋人であり続ける為に
窓辺にうつむいている少女よ
もっと私を悲しくさせておくれ
悲しみは甘美な酒精の様だ
涙は恋の 恋の血潮
窓辺にうつむいている少女よ
うつむいて 泣いている少女よ
魂の収穫
2008年5月13日(火)
複雑は知識の産物だが
単純は知恵そのものである
強さこそ、優しさの父
優しさの母は悲しみである
この大いなる逆説
即ち、この世は試練に他ならない
謝、それは心からの感謝
人生に目的などあってはいけない
目的は自ら産み出すようでなければ
命の意思の根底に流れるもの
それは、ひたむきな愛の川である
腰を丸め、両手を使い、素手の爪に土をため
大地の中から掘り出さねばならない
じゃがいもの様に、大きく実直な魂を一つ
額に汗し、黄金の格言を口ずさめ
「善き者は、たんと苦しまねばならない」
「善き者は、たんと苦しまねばならない」、と
低き者が高いとは限らない
しかし、真に高き者は一番低い者である
厳寒の夜、毛布の温もりを感じ
飢えた者が食物の旨さを知っている
この大いなる逆説
即ち、この世は試練に他ならない
謝、それは素直な謝罪
神は己を造り出したが
己が神を創造し、自らを造らせたのである
されば、神に慰めを求めつつ
自らを信じ、頼らねばならない
腰を丸め、両手を使い、素手の爪に土をため
大地の中から掘り出さねばならない
じゃがいもの様に、大きく実直な魂を一つ
額に汗し、黄金の格言を口ずさめ
「善き者は、たんと苦しまねばならない」
「善き者は、たんと苦しまねばならない」、と
一本道
2008年5月11日(日)
一本道を歩いていると
向こうから憧れが歩いて来た
僕が挨拶すると、憧れは向きを変え
僕は悲しみと共に歩き続けた
一本道を歩いていると
向こうから世界が歩いて来た
僕が挨拶すると、世界は向きを変え
僕は孤独と共に歩き続けた
一本道を歩いていると
向こうから青春が歩いて来た
僕が挨拶すると、青春は向きを変え
僕は憂いと共に歩き続けた
一本道を歩いていると
向こうから恋が歩いて来た
僕が挨拶すると、恋は向きを変え
僕は愛と共に歩き続けた
一本道を歩いていると
向こうから君が歩いて来た
僕が挨拶すると、君は向きを変え
僕は妻と共に歩き続けた
一本道を歩いていると
向こうから子供が歩いて来た
僕達が挨拶すると、子供は向きを変え
僕達は娘と共に歩き続けた
一本道を歩いていると
向こうから人生が歩いて来た
私達が挨拶すると、人生は向きを変え
私達は幸福と共に歩き続けた
一本道を歩いていると
向こうから時が歩いて来た
僕達が挨拶すると、時は向きを変え
僕達は思い出と共に歩き続けた
一本道の終わる頃
向こうから死が歩いて来た
僕が挨拶すると、死は僕を両腕に抱き
安堵の中、僕は疲労した足を休めた