向かい合う一対の彫像

2008年1月27日(日)

「この世は地獄か」
お前が、そう私に問うた時
「この世は地獄だ」と私はお前に答えた
光など存在していなかったのだから

「この世は天国か」
私が、そうお前に問うた時
「この世は天国だ」とお前は私に答えた
光を造り、守ることが出来るのだから

「人間は悪か」
私が、そうお前に問うた時
「人間は悪だ」とお前は私に答えた
善など存在していなかったのだから

「人間は善か」
お前が、そう私に問うた時
「人間は善だ」と私はお前に答えた
善を造り、守ることが出来るのだから

私がお前に問おうとした時
お前は私に答えようとした
ふと、私が問うのを止めた時
お前は黙り込み、只、こちらをじっと見詰めた

愛憎の十字架

2008年1月4日(金)

   僕
   は
僕は君を愛している
   を
   憎
   ん
   で
   い
   る

           僕
           は
           、
           こ
           の
    僕は、この交差点で君と出逢った
                と
                別
                れ

                る

                ・

                ・

                ・

囁きと吐息と溜め息と

2008年1月1日(火)

人生、答えの多い謎
恋愛、謎の多い謎だ

晴れの日もあれば、雨の日がある
或いは、感傷的な雨音を聴きながら・・・

バーの暗がりの一角、キャンドルの揺らめきに共に照らされ
揺らめきと共に揺れながら、君の瞳を見詰めたこともあった

壁に掛かった、幾つかの女の素顔と体、一抹の不安
ベルナール・ビュッフェの直線の様な、君の心に似ている

活けられた胡蝶蘭は、君の手より白く、柔らかく
ガラスの灰皿に棄てられた吸殻は、僕の人生の様に苦く、悲しい

「二人の為にショパンのノクターンを・・・!」
君がジャズ・ピアニストにシャンパンを渡した

あの弾き外されたピアノの様に
僕のステップは、君の微笑みにつまずく

漂うシガーの芳りは以前より幾分か濃くなり
アルコールに慣れる様に、何時しかキスも甘さを忘れた

男女の間の軽妙な会話
軽妙な人々、軽妙な時間

人生、答えの多い謎
恋愛、謎の多い謎だ

向かい合わせの鏡、金縁の終わり無き回廊
ボロ切れの様な思い出と、ちぎれ落ちそうな二人の失恋

「あなたのこと、愛してるわ」
素晴らしい始まりがあり

空のグラス、やがて、空のボトル
飲み乾された甘美な快楽

「私達、もう終わりね」
只、苦い悲しみが残る

ああ、見てごらん、二人の恋の様な夜景よ
ああ、聴いてごらん、組曲の様な二人の恋を

「愛していると言わないで。言葉は魔法を消してしまう」
暖炉の炎が影を落とす、二人の夜を刻む古時計の振り子に

「全ての事に終わりがあるのよ。私達の、この愛にも」
そして魔法は失われ、別れの痛みだけが終わりを知らない

人生、答えの多い謎
恋愛、謎の多い謎だ

晴れの日もあれば、雨の日がある
或いは、感傷的な雨音を聴きながら・・・