LEGOの恋人
2007年3月25日(日)
LEGOの恋人
両足を板にはめ込んで
時計台の下で待っている
手に赤い花を握りしめ
時計台の下で待っている
LEGOの恋人
君には素敵な家がある
君一人には大き過ぎる家
大きな大きな庭もある
君が花を摘んだ庭
LEGOの恋人
あれから二十年も経ったろうか
君が花を摘んだあの日から
二十年も待ち続けた
埃にまみれた時計台で
LEGOの恋人
二十年ぶりに君を見つけた
忘れかけた箱の中
君も僕も年取った
でも今も僕等はあの日のままだ
戦争
2007年3月25日(日)
子供は兎と暮らしていた。
草原は青く、湖は澄んでいた。
虎は腹が減っていた。
臆病な人間はほら穴へと身を潜めた。
ほら穴の闇が囁いた。
「虎は恐ろしい動物だ・・・。」
暗いほら穴から空が見えた。
鳥が自由に飛んでいた。
「何と羨ましいことだろう・・・。」
「何とねたましいことだろう・・・。」
爪は長く伸び、心に牙が生え始めていた。
眼は赤く光り、心に黒い影が流れた。
憎しみの叫びがほら穴中に響いた。
強欲の笑いがほら穴中にこだました。
鬼が暗闇から飛び出して来た。
角を生やして、武器を手にして。
全てを支配する為に。
神そのものとなる為に。
鬼達は殺した。
動物を、鬼達も、人間自身を。
鬼達は燃やした。
動物を、鬼達も、人間自身を。
鬼達は喰らった。
動物を、鬼達も、人間自身を。
ほら穴で誰かが囁いた。
「人間は恐ろしい動物だ・・・。」
粘っこい血の海に足が滑り、
鬼は人間の屍につまずいた。
見渡す限り延々と
死体が瓦礫の中に広がっていた。
勝利の味は苦くなり、
口が腐るかと思われた。
吐き捨てた肉片、
それはいつかの兎だった。
血まみれの肉塊、
それは子供が愛した兎だった。
「子供は兎と暮らしていた・・・。」
「草原は青く、湖は澄んでいた・・・。」
ちょうど涙の濡らした所、
心臓の鼓動だけが聴こえていた。
こぶしをしっかりと組み合わせ、
静かな静かな祈りを捧げた。
角が無くなり、牙が落ち、
焼け野原に人間が立っていた。
平和の為に止めどなく、
止めどなく涙がこぼれた。
雨
2007年3月25日(日)
雨、
雨、
雨が降っている。
あなたの頭に、
そして私の頭にも。
雨、
雨、
それは雨だろうか。
それは水滴、
それは悲しみ、
それは喜び、
それは運命であり、アクシデントであり、原点。
雨、
雨、
雨が降り続く。
あなたの上に、
そして私の上にも。
小鳥
2007年3月25日(日)
私の中に愛という名の古い小鳥がいる。
自己犠牲という不自然な枝に止まり、
望まれないまま私の胸に抱かれていて、
まるで血を受けたように育っている。
私の鼓動を聴きながら生きている。
武器
2007年3月25日(日)
武器を持て。
武器を捨てよ。
武器を持て。
武器を捨てよ。
再び武器を持て。
そして武器を捨てよ。
我々の歴史はこう作られていった。
殺し合え。
握手を交わせ。
殺し合え。
握手を交わせ。
再び殺し合え。
そして握手を交わせ。
我々はこうした歴史を作り続けるのか。
幸福の果実
2007年3月25日(日)
危険な女でありたい。
強い酒でありたい。
永遠の冒険でありたい。
幸福の果実を口にした
あなたの夜の歌でありたい。
似たりよったり
2007年3月25日(日)
その犬は度々脱走に成功する。
その飼い主は旅行の為に貯金する。
その犬は誰にでも尻尾を振る。
その飼い主は八方美人。
その犬はそこらじゅうに子供がいる。
その飼い主は毎回違う男と歩いてる。
その犬は隠して埋めた骨のことを忘れる。
その飼い主の夫は土の下で眠ってる。
葉巻
2007年3月25日(日)
それは葉巻のような恋であった。
指先より長く、
茶色く、
細く巻いてあり、
柔らかく、
強いアローマがあり、
先端で灰が燃えていて、
すこし苦く、
すこし大人のようで、
すこし悲しく、
それは葉巻のような恋であった。